近年、厳しい労働環境の中、労働者のメンタルヘルスの問題が注目を集めています。厚生労働省による第13次労働災害防止計画(2018年度~2022年度)では、仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上、ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上とする目標を掲げています。
事業場のメンタルヘルス対策の推進のためには、地域における医療機関など、こころの健康の専門家と事業場とのよりよいコミュニケーションが望まれています。そこで、大阪産業保健総合支援センターは、大阪府医師会の協力を得て、「こころの健康専門家ガイドWEBサイト」を作成いたしました。
貴事業場のメンタルヘルスの推進にお役立ていただければと思っています。
事業場において、産業保健スタッフや人事・労務担当者として、外部医療機関との連携が求められる場合があります。仕事や日常生活への支障が大きく医療機関の受診が必要な場合、従業員の方が治療を受けながら就労を継続される場合、休職された後の復職時期などです。
「こころの健康専門家ガイドWEBサイト」に掲載されている情報を参考に、外部医療機関との連携を取ってください。
主に対処されている疾患、提供されているサービスの種類(入院可能か、カウンセリング可能かなど)、予約の要・不要など、ご本人の状態やニーズに合わせて選択します。
受診をすることが決まったら、事業場の産業医からの紹介状を紹介先に送付するか、ご本人に持参してもらうようにしましょう。紹介状には、これまでの経過、紹介の理由、企業内の連絡先など、事業場の情報をできるだけ記述しておくとよいでしょう。紹介状は、ご本人に見せて了承を得ておくことが望まれます。
さらに、後日、病状や今後の見通し、復職のめどなどについて知りたい場合もあります。病状についての問い合わせをしてもよいかどうか、ご本人に了承を取り、紹介状にも後日連絡をさせてもらいたいということも書いておくとよいでしょう。
主治医との連絡については、ご本人の同意を得たうえで行なうことが必要です。できれば同意書を取っておくことが望まれます。
事業場(主に産業医)と主治医とが、お互いに必要な情報を交換し合うことで、ご本人の速やかな治療と復職につながります。
復職に際しては、必要な就業上の配慮について、主治医から情報を得ておく必要があります。ご本人の同意を得た上で、産業医が中心となって主治医に意見を求めることで効率的な職場復帰につながります。また、職場復帰後の就業上の措置についても、産業医から主治医に提出しておくと、今後の治療や就業の支援がより円滑に行えます。
交換しておきたい情報は次のようなものがあります。
復職する前に、職場復帰支援(リワーク支援)を受けておいた方が良いのではないかと思われる事業場も増えています。医療機関でも職場復帰支援(リワーク支援)のサービスが提供されています。
どのようなサービスが提供されているか、サービスを受ける条件があるかどうかを事前に確認されると良いでしょう。
日ごろから気軽に相談できる主治医の存在を確保しておけば、事業場の従業員の診察をお願いしてもコミュニケーションが円滑になり、事業場のメンタルヘルス対策がずいぶん促進されます。
令和2年4月 大阪産業保健総合支援センター